気まぐれコラム

発音による齟齬@外国語

こんなネット記事を最近読んだ。

『ロシアで日本語の「エビ」は、失礼な卑猥な言葉に聞こえてしまう恐れがあるのです。現地のお寿司屋さんで食べるときはロシア語の「クリービエトカ」を使ったほうがよいでしょう。

トラブルを避けるためにも知っておいて損はないはずです。』

こういう文章は昔からよく見かける。

We eat ライス」と日本人が言うと、「日本人はlice(シラミ)を食べるのか」と思われかねない

とか

「ご協力(cooperation)ありがとう」と日本人が下手な英語で言うと「copulation と聞き違えられ、笑いで済ませられればいいが...

といった類いであるが、

実にバカげてる といつも思う。

シラミを食う人種がどこにいるというのか?

助けてくれてありがとうと感謝を表現する表情や文脈のどこに、卑猥で失礼な言葉を発しているという発想が出るのか?

言葉には、文脈や話者の言語能力など様々な変数があって、それらを加味して相互理解が成されるものだ。

誤解を生む可能性があるというなら、日本語同士だって誤解を生むことは山ほどある。

上記ロシアの例で更に言うなら、寿司屋をやってるなら提供する食材の日本語くらい、店側が予め勉強するべきであり、我々が心配したり恐縮するべきものでは全くない。

こういう記事を書く輩は、周りに気を使い、顔色を伺い生きていくべきだ、的な考え方をしてないだろうか。

それとも自分の知識をひけらかして、感心してもらいたいのだろうか。

日本人がマイナーな人種であるからメジャーな人種に気を遣え、と言われているような気さえする。

 

冗談ではない。

海外の寿司屋に行くのにそんなことまでビクビクする必要がどこにあるというのか。堂々と自分らしく、かつマナーを弁えて行動すればいいのだ。

 

エビでも何でもはっきりオーダーすればよい。気をつけるべきはロシア店側である。「日本人はこれをエビって言うことがあるから覚えとけ」くらいに店長がスタッフに周知させておくべきものではないだろうか。

 

万が一店員が怪訝な顔を見せたら、「日本語も分かってないのに寿司屋やってるー」「注文してるのが明らかなのに、会話の文脈がまるで通じなかったよー」的な、旅先での面白いトラブル談として笑い飛ばすべき話題であり、失礼な言葉言ってごめんねなどと我々日本人が気をつけようっていう話では決してない、と私は思う。