気まぐれコラム

アカバン

アカバン、という語。聞いて分かる保護者世代の方はどれくらいいらっしゃるだろうか。

恥ずかしながら私は今日初めて知ったのであるが、事の経緯をまとめておくことにする。

そもそもこういう仕事なので、英語に限らず言葉には興味が少なからずある。

若い世代が使う言葉も、初めて聞いて変な感覚はあっても否定をすることはない。言葉は変化する。元々の意味を失った、それが本来の意味で使っていた世代にとって悲しむべきことであっても、変化こそが言葉の真髄であるからだ。

話を戻そう。

そもそもは、keep A from Bing ABさせないようにする」

という熟語がある。fromは「遠」なので、AさんをBという行為から遠ざける状態の維持(keep)というイメージであるが、

この形に似たものとして、keepの他に妨害・禁止の動詞がよく現れる。

stop, prevent, prohibit, forbid などが代表的なのだが、ここにban という語も入ることを私が知ったのは20くらいのことだったか。

勿論prohibitforbid を習得した何年も後のことである。

まあ単なる勉強不足の為、と言われたらそれまでなのだが、私にとってそれ故にbanは「短いが難易度の高い語」という印象だったのだが...

最近何年か授業をしてると、このbanという語が広く認知されているような印象を生徒の様子や教えた時の反応から、なんとなく感じるようになった。

なんとなく不思議に思っていて、思い余って今日高1の生徒に聞いた経過が、以下である。

「このbanて語、もともと知ってた?」

何人か生徒うなずく

「あーやはり。。。で、どういう経由で知ってるの?ガッコのテキストで出てくるとか?」

「アカバンとか、いいます」

...アカバン?」耳を疑う。

仮面の忍者赤影とか、アカレンジャーとか、「強いイメージの女番長」みたいな印象しか頭をよぎらない。

「アカバンて?」

こういう無知は笑われようが、知らないことは知らないので、教わるつもりでしっかりと聞く。恥より好奇心がそれに勝る。

「アカウントの凍結のことです」

バカな塾長に真剣に答えてくれる。

いい子だ。うれしい。

おお。凍結=banか。なるほど。

敢えて更に聞く。

「アカウントって、例えば?」

 

(だってアカウントって、説明とか計算とか、意味広いんだもん。流石に文脈からそれらの意味ではなさそうだが、まず思いつくのは銀行口座。それからFacebook などの個人ページ。おそらくは後者だろう。確認確認)

Twitter とか、SNSのアカウントのことです」

なるほど。それをアカバンと略すのか。すげえな。

 

了解しましたりょり 

 

ていうのを知った時に匹敵するくらいの興奮だか戦慄だかが、背筋に走る。

クラスみんなに聞く。

「そのアカバンて言葉、知ってる人ー?」

なんと、全員が手を上げた。

ええええ

そんなメジャーな単語なのか!

なんてこった。知らなかった自分が恥ずかしく思える...はずだったがその前に気づいたことが一つあった。

「アカウントの凍結」って、そんなに一般的なことなのか??

どんな世の中やねん!